このルチルもチタン鉄鉱の風化により二次的に生じたものである。
風化した母岩には、その中に含まれる結晶鉱物も同様に風化が進んでいることが推測できることから、魅力は半減していまうのだが、このような母岩を割って観察してみると、予想外の二次鉱物を見つけることができる。
チタンを含むチタン石やチタン鉄鉱が風化することによって作られる二次鉱物としては、ルチルの他に鋭錘石、板チタン石がある。水晶山ではルチルはチタン鉄鉱、鋭錘石はチタン石が元の鉱物と決まっている。板チタン石は、風化した雲母の中に見られ、どちらが元鉱物かは特定できない。
さて、この標本であるが、上記のようにチタン鉄鉱の風化により形成されたルチルで、板状に広がっている。運良く、チタン鉄鉱の一面が方解石であったため、酸による処理で綺麗に保存されたルチルが顔を出した。
顕微鏡下では、網目状に成長したルチルの結晶が、光を反射してキラキラ輝き、美しい。