後 光
2002.08.10
「光輪」を撮影した同じ日に写した写真である。実際は上の写真のように非常に淡いものだが、画像処理で陰影をはっきりさせると、飛行機の影の周りに白く輝く光が浮かびあがった。飛行機の影から右に伸びる黒い筋は飛行機雲の影である。
これは「後光」と呼ばれる現象で、水滴に光が当ることによって起きる。
雲を作る水滴は、小さいためにほぼ完全な球形である。球形の水滴やガラスなどに一方向から光を当てると、一部の光は光をはなった光源に戻ってくる。この現象は、日常でもよく体験することができる。例えば、フラッシュ付きカメラで夜に写真を撮影すると、人の目が赤く写ることがある。球形の目に入ったフラッシュ光の一部は、光源であるフラッシュに向かって戻る。小さなカメラの場合、フラッシュとレンズが近い位置にあるために、この戻ってきた光が写ってしまうのである。これは「赤目現象」と呼ばれる。
また、夜に自動車を走らせていると、道路標識や路肩の反射板が輝いて見える。これも道路標識や反射板に球の構造があるためで、車のヘッドライトの光が戻ってくるために目立って輝くのである。
この現象は、ブロッケンの妖怪や光輪が生じている場合には、同時に起きている。しかし、この写真の場合、「後光」の光はあっても七色の光の輪は確認できない。水滴の大きさによるものなのか、光の条件によるものなのか、はっきりしたことはわからない。