久しぶりに、「オッ、これは・・」と期待を持った名称不明鉱物であった。水晶山では閃ウラン鉱や方トリウム石系の鉱物が産出するため、写真のような直方体の結晶を見ると、どうしても期待を持ってしまう。当然、黄鉄鉱が風化した、いわゆる「武石」ではないかとの疑いを持たないことはないのだが、過剰な期待が、そんな疑いなど吹き飛ばしてしまうのであった。
ともかく、分析しないと鉱物名がわからないため、成分の分析をしたところ、主成分として鉄が含まれ、ウラン、トリウム、タンタル、ニオブなど期待した成分は含まれていないことがわかり、疑いもなく、「武石」であることが判明した。
石英に包まれるか、接している黄鉄鉱が風化すると、非常に光沢を持つ面を持つ武石になるらしい。
X線による結晶構造の分析はしていない(分析する予定もない)ので、燐鉄鉱と針鉄鉱の2つの鉱物名を示しておく。