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Molybdenite 輝水鉛鉱  化学組成 MoS

 水晶山から輝水鉛鉱が産出することは文献で知っていた。また、以前、房又産として鉱物店で売り立てに出ていた標本があり、購入していた。ただし、この標本は、小さく、母岩も付いていないもので、単に『ラベルに「房又」と書いてあるから』という理由だけでは、公開できないでいた。
 今回、母岩を小さく砕いて、鉱物を観察していたところ、輝水鉛鉱が顔を出した。ハッとする瞬間である。自己採集では初であり、水晶山から当鉱物が産出することを確認することができた。
 ちなみに、この輝水鉛鉱が入っていた母岩は、何の変哲もない、これといった何の特徴もない、いわば「つまらない」「期待が持てない」ものであった。このようなものは、そもそも採取しなかったり、割って調べたりしないものなのだが、採集が叶わない現状にあることから、この母岩を割るに至ったのである。

岩代石その8