水晶山のペグマタイトの特徴の一つに、玄武岩の脈が多数入りこんでおり、ズリにも多量の玄武岩が見られることが挙げられる。大抵は風化して脆くなってしまっているが、中にはハンマーでたたくと「キーン」と音がするような新鮮なものも見られる。とはいっても、採集するような魅力のあるものではなく、ズリから掘り出されると真っ先に放り投げられることになる。
入山禁止となる前の多少古い話しになるが、小休憩を取るために、水を片手に周りを見回している時、いつもは目も向けない玄武岩上に、小さな晶洞があることに気づいた。手にとってよく見れば、小さな晶洞が多数あり、繊維状の結晶が見られる。
分析の結果、モルデン沸石との結果が出た。玄武岩に晶出するものとしては決して珍しい鉱物ではないが、白く輝く繊維状の結晶は美しい。