Synchysite-(Y) シンキス石
化学組成 （Y，Ce）Ca(CO3)2F
「シンキス石」、この鉱物が水晶山から産出していることは文献でわかっていたが、どのような産状で産出するか不明だったため、これまで私にとっては幻の存在であった。
写真のように、ザラメ状の淡い黄色の鉱物がシンキス石である。成分の分析はしていないが、イットリウムが卓越するSynchysite-(Y)になるものと思われる。
問題は、シンキス石がどのような岩石を母岩として産出するかである。
母岩は、イットロ蛍石と鉄ばん石榴石から成るもので、一般的なイットロ蛍石の標本と同じものである。ただし、母岩は著しく風化し、かつては蛍石が充填してた部分が風化によりほとんど抜け落ち、空隙になってしまっている部分にそれは存在する。鉄ばん石榴石にへばりつくようなガサガサになった部分がそれである。ともかく、風化したイットロ蛍石の部分にシンキス石が存在することが明らかとなった。
同じように風化したイットロ蛍石をお持ちの方は、確認していただきたい。