これまで「テンゲル石」として紹介していたが、詳しい分析の結果、「ロッカ石」であることがわかった。テンゲル石の化学式はY2(CO3)3・2-3H2Oであり、Caを除いて成分が同じであることから、水晶山でも産出するだろうことは予想していた。
この標本は、イットリウム褐簾石や鉄礬柘榴石を主体とする特殊な母岩の割れ目に形成されたロッカ石で、ギラリと光る面から、板状の結晶であることがわかる。
この白い部分は、野外では石の表面に付いたカビのように見え、汚い石に見えたため、発見当初は見向きもしなかった。せっかくの貴重な鉱物であるが、ズリの中に再度埋もれてしまったものは数しれないと思われる。