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Thalenite タレン石  化学組成 Si10(OH) 

 イットリウム褐簾石と鉄礬石榴石を主とする母岩の中に産するタレン石で、色は淡い褐色、透明〜半透明、劈開は無い。
 この様なタレン石の同定は非常に難しい。色や形から見ると、長石にも似たようなものがあるし、割れたものは、飯盛石やヒンガン石、水晶との区別は付きにくい。結局、分析装置に頼るのが確実ではあるのだが、一つひとつの結晶を分析するわけにはいかないし、分析にかけたら、その結晶自体が失われてしまうことになる。
 分析装置に頼らない、肉眼鑑定の力をつけるしかないが、今のところ、タレン石を同定するポイントは、色や劈開が無いことに加え、「トロンとした感じ」というものであり、なんとも頼りない。
 幸いにして(?)1つの母岩を小割して得られた僅かな標本しかないため、分析装置による1度の分析で、なんとか標本に名前を付けている状況である。
 この標本は、タレン石の特徴の一つ「トロンとした感じ」が良く感じられるものの一つである。