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Uraninite  閃ウラン鉱  化学組成  2

 「放射性の鉱物を探す時には、外観が薄汚れたような感じの石を探せ」というようなことをどこかで読んだり、聞いたりしたような気がするが、どの本か、誰からであったかは思い出せない。経験的にも、真っ白な石英や長石には放射性の鉱物が入っていることはほとんど無く、放射性鉱物を含む岩石は、放射線によるヤケが生じており、決して綺麗な外観をしていないことが多い。「薄汚れた感じ」とは、かなり曖昧な表現であるが、言葉に表しにくく、見分けるには経験がものを言う。
 さて、そんな「薄汚れた感じ」の長石を、「何となく手に取り、でもどこに特徴があるというわけでもなく、そのまま捨てておこうかとも考えながら、まあちょっと持ち帰って顕微鏡で見てみよう」と採集した岩石の表面に、立方体や立方体の角が取れたような結晶をした鉱物を発見した。長石の割れ目が小さな晶洞となっており、そこに成長した極小さな水晶に半ば埋もれるようにして黒色、不透明の結晶が見られた。鉱物種としては、柘榴石や磁鉄鉱が疑われるが、柘榴石にしては小さい割に色が濃すぎるし、結晶の形が異なる。また、磁性も無い。そこで、閃ウラン鉱と同定した。詳しい分析はまだであるが、間違いはないであろう。
 前述のように、何となく持ち帰った岩石のほとんどは、顕微鏡で観察しても何も見つからないことが多いのだが、今回は、たまたまのヒットとなった。